とある男がレンタル移籍したくなった理由

Tatsuya Yoshida

NTT西日本 ビジネスデザイン部
情報工学専攻修了。在学中に使えるねっと株式会社・信越放送株式会社でのインターンを経てIT・通信に興味を持ち、故郷である関西への貢献度に惹かれて新卒でNTT西日本へ入社。高度IP人材として研究開発センタとビジネスデザイン部を経験し、現在はレンタル移籍を通じて、ベンチャー企業での事業開発に従事。

はじめまして、NTT西日本の吉田 達也と申します。

2016年からNTT東日本との共同開発部に異動となって東京に出てきました。

弊社には、LoanDEAL社の「レンタル移籍」を利用した「ベンチャー留学」という制度があります。

今春より、僕はこの制度を利用して、とあるベンチャー企業に勤めています。

レンタル移籍とは「大手企業にいる社員が、ベンチャー企業に出向する」という取り組みで、大手企業に在籍しながらベンチャー企業で勤務するという、今までに無かったちょっと変わった制度です。


今回、幸運なことに、こんなフザけた顔をした男に記事を書かせていただく機会をいただきましたので、遠慮なく、そして大人気なく、心のままに僕の気持ちを綴りたいと思ってます。

「何かを変えたいな」とか「俺もベンチャー行ってみてぇ!」と思っている方の参考になれば嬉しいです。


【レンタル移籍(=ベンチャ留学)に参画した背景】


そもそもどうして僕がこのベンチャー留学に手を挙げたのか。

それは、母国が衰退している現状に悔しさを感じたのが発端なのです。

技術大国であった日本、今やGDPは中国の半分以下です。


これには様々な要因があると思いますが、僕個人は「日本企業との働き方(※)のアンマッチ」が原因だと思っています。優秀な技術者が海外に流出したり、研究者が日本で机に向かうことを諦めたのはこのせいではないかと。このような考えもあり、「働き方を変えないといけないと日本は滅ぶ」という考えに至りました。

それで、先ずは自分が身をもって「新しい働き方」をやってみなくてはな、と強く感じてしまったわけなのです。

 ※勤務時間、勤務体系、給与などの勤務条件を含めてここでは「働き方」という表現をしています。


ちなみに僕はNTTグループの一員であることを誇りに思っています。

ただ、それは「国の通信を守る」という使命感から来るものであって「仕事が好き」なわけではありません。同じように思う人もいたのか、ネガティブな理由で退職してしまう人を何人も見てきて、僕はそれを問題だと感じています。それって、「働き方」の中の「待遇」とか「夢」の部分で、他の会社を選びたくなったってことなのかな?って思っちゃうんですよね。

つまり、僕らの会社には何かが足りていないんだ、と。


だから僕は「レンタル移籍」をして、他社を学び、マルチキャリアを経験し、

「どんな人間なら、若手が一緒に仕事をしたいと思ってくれるだろう?」

「NTTという組織がどう変われば、夢を持った学生が入社したいと思うのだろう?」

という疑問に対する答えを肌で感じたいと思ったのです。


「組織」というものを変えることが難しいと、分かってはいるつもりです。ましてやNTTは元国営、設備投資額は日本で1位、内部保留も国内トップレベルのとんでもなく大きな「組織」です。無謀にも、僕はそんな組織に真っ向からぶつかりたいと思ったのです。


NTTでの改革に成功すれば、他の大企業も追従してくる。大企業で成功すれば、それがモデルとなり中小・零細企業も真似をする。そうなれば、日本中の企業が「働き方」について考えてくれると思うんです。

大げさかも知れませんが、僕は国民が幸せに生活できるような国を作りたいと思っています。

自分だけじゃなくて、友達とか、その友達、またその友達が幸せになったら、最高ですよね。


【レンタル移籍をしてみて】


NTT西日本の外に出て、2ヶ月が経ちました。社会人としての5年間を特殊な企業で過ごした僕には、大変刺激が強い2ヶ月でした。


主に研究・開発に従事してきた僕ですが、今は新規事業の立ち上げに精を出しています。

プロジェクトの規模は小さいながらも、戦略策定からToDo化、営業〜開発まで、全て自分でやらないといけません。大企業では分業化されているのでしょうが、ここには「ヒト」というリソースが圧倒的に不足しているので、それができないのです。

例えば、営業なんてやったことない僕が、自分で考えたプロダクトを売り込んだり、今まで関係の無かった業界のソリューションを提案しないといけないのです。


他にも、海外にいるCEOから急に「○○について調べて 事業規模 何億くらい?」なんてオーダーも。社長と直接やり取りをしていて、対応が遅ければ「もう不要」と本気で切られます。

自社にいた時には「色んなデータから調査して、綺麗なデータにして…」ということが普通だったのですが、ここでは「雑多でもいいから6割くらいの出来で早く出して」という文化です。この文化の違いに苦しむこともありますが、新しいもの/ことを学ぶということは非常にためになります。

レンタル移籍を通じ、今までの自分では考えられないほど仕事の幅が広がりました。

「何でも自分でやってみよう」というタイプの人間には、とてもいい環境です。


文章だけ見れば「お前、何でもやっててスーパーマンみたいやんけ!」となるかも知れないのですが、そんなことはないのです。常々必死で、全く新しい世界で新しい仕事をやらなければいけないので、スーパーマンどころかスッパマンレベルのギリギリ加減です。


でも、成長して、色んなことを学んだ僕を誰かが頼ってくれれば、それは本当に嬉しいことだと思います。組織を変えるためには、自分が魅力的な人材になることが必須だと思うので、引き続きガムシャラにやってみるつもりです。


【レンタル移籍するか迷ってる方へ】


何をするにしても、やりたいという意志が非常に重要です。

今の職場や上司、仲間、色んな人に迷惑をかけるのは承知の上です。

でも、自分が正しいと思えたのであれば、その道を突き進むしかないのだと思います。


僕の場合、レンタル移籍の募集をしたいと自組織の課長に相談した際、

「お前は絶対に出せへん、諦めてくれ。」

と、全く考える余地もなくNG宣言されてしまいました。


それでも諦められなかった僕は、大阪本社の企画部門、そして東京で一番偉い自組織の長に直接話をしました。

「僕をベンチャーに行かせてほしい、これは未来のNTTへの投資です!」と。

大阪の上長は笑いながら快諾、東京の上長には、2回目の話を持ちかけた時に渋々OKしてもらいました。

今思えば、担当内最年少の男性社員が、管理職に向かって啖呵を切ったなんて、非常に失礼な話だな、と。笑


ただ、これだけやったから、今こうやって外の世界を知ることができています。

本当に無茶して良かった。


この記事を読んでくださった方にも、これくらい無茶をして、自分の正義を貫いてほしいと思います。

無茶した後のビール、メチャメチャ美味いですよ。

レンタル移籍者たちの手記

企業間レンタル移籍プラットフォーム「ローンディール」は 大企業の人材をベンチャー企業のプロジェクトに参加させる仕組み。 働きなれた組織を離れて、未知のベンチャー企業に移籍した挑戦者たちは 何を見て、何を感じるのか。彼らの日々の記録。

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