レンタル移籍をして5か月が経過したNTT西日本の佐伯穂高さん。先日、月次の振り返りをしている中で「この5か月で身についたスキルを一言で言うとなんだと思います?」と問うたところ、彼はこう答えました。
「一人でやる、ということですかね。」と。
そして彼は続けました。「大きな組織には役割分担があって、それをやっていく。新規事業みたいに、新しいこと、未知のことに挑む場合、やっぱり失敗するリスクも高いから誰も、自分一人で責任を持ちたくない。だから新規事業でも役割分担をしがちだと思います。だけどベンチャー企業ではみんな一人でやっている。もちろん、経験したこともないし、誰も答えなんてわからない中で。」
以前の佐伯さんは何か知らない仕事を依頼されたときに「やったことないんですけど」「マニュアルはどこにありますか」と聞いていたそうです。これは至極当たり前のことで、大きな組織であれば、自分がいなくなっても組織や仕組みが回っていくように、代替可能な状態にしていくことが求められます。だからマニュアルがあって当然だし、やったことがない仕事を振られたら誰かに教わることになる。こういう環境ができている。
ところがベンチャー企業に、そんな環境はないのです。例えば、プレスリリースの原稿を書く、公的機関の入札に参加する、自分でPLを管理する。レンタル移籍をしたみんなはそんな経験をします。社内で誰もやったことがない仕事、というのもとても多い。それを「何もない」中で進めなくてはいけない。そして、「何もない」ことは失敗した時の言い訳にできない。この恐怖を乗り越えて、「何もない」ということを「まぁそんなもんだ」と思って、とにかく、やる。それが佐伯さんの言う「一人でやる」ということだそうです。
佐伯さんの話から、新しいことをやるというのは「自己と向き合い、自分の足で進む」ことなんだと、改めて気づかされました。
ベンチャー企業の方が手触り感を持てるとか、当事者意識が高いとか言われますが、それは「何もない」からなんでしょうね。何もわからず、及第点が何か、正解が何かもわからず、ただ自分が思う「最良のアウトプット」を出そうとする。その意志力や、不安に耐えうる胆力。今までの成功パターンが通用しない状況で新しい価値を生み出すときに求められるチカラというのは、そういうものなのかもしれません。
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