LOUPEへのレンタル移籍を終えて(後編)

Mirai Harada

株式会社ローンディール 代表取締役社長
サッカーなどスポーツの世界で行われている「レンタル移籍」に着想を得て、「会社を辞めずに外の世界を見る機会」「企業の新しい人材育成の仕組み」として企業間レンタル移籍プラットフォームを構想し、2015年7月に株式会社ローンディールを創業。

こんにちは。ローンディールの原田です。

システムの受託開発を行う企業「テクノライブ株式会社」から、教育系ベンチャー「株式会社LOUPE」にレンタル移籍をしていた後藤幸起さんの手記を公開します!レンタル移籍をしていたのは2016年10月~2017年3月、週3日という兼務の形態で実施されました。後藤さんはテクノライブの取締役でもあり、その取り組みはForbesJapanでも取り上げられるなど、注目を集めました。そんな彼が、レンタル移籍を通じて見たもの、感じたものとは??

今回は後編、お金に対する考え方について、自分自身のスキルについて、赤裸々に綴っていただきました。


<お金に対する考え方が変わった>

■ベンチャーはコスト削減のアイデアの宝庫

ベンチャーは基本的にキャッシュが不足しています。キャッシュが少ない会社にとって最も恐ろしいことは、固定費が高くなることです。ベンチャーにはとにかく固定費を抑えるアイデアで溢れています。

たとえば人件費は、正規社員は極力増やさず、業務委託やパート社員を使います。最新のコミュニケーションツールを使うなどしてリモートワークや在宅勤務などの柔軟な働き方を実現し、仕事の切り出し方も工夫します。オフィス賃貸料は、コワーキングスペース、他企業のオフィスを間借りすると、通常のオフィス家賃と比較するとありえないくらい安く抑えることができます。書類の保管を紙ではなく全てweb上で管理することで、キャビネットを保有する必要も無く、PCとネット環境さえあれば仕事ができる体制になっています。

他にもLOUPEでは多くの業務効率化のための管理ツールを使いこなしていましたので、自社においても多くの部分で大幅にコストを削減できることに気づきました。


■価格はサービスや事業の価値を表す

テクノライブとLOUPEの売上を比較すると1/10以下。テクノライブではともすると数万程度であれば譲りがちなクライアントとの価格交渉も、LOUPEにとっては死活問題です。サービスが輪郭しか定まっていない中で、設定した価格を落とさずにクライアントに価値を認めてもらうことの大変さを身をもって体感するとともに、価格はそのまま自分たちの事業の価値を表す指標となる、ということを意識できるようになりました。


<自分を見つめなおす機会になる>

■自分自身の実力をはかることができる

1社に長く在籍すると、どうしても視野が狭くなり、仕事の仕方もその会社独特のやり方に染まりがちになってしまいます。新しい刺激は年々減少し、成長を実感できることも少なくなり、自分の客観的な市場価値というのが分かりづらくなります。

会社としてのフェーズも、事業内容もまったく異なるLOUPEに身を置き、そこでの業務を通じて多くの方々と接することで、このフェーズでは、自分の何が通用して、何が不足しているのか、理解することができました。

自分の強みという点では、まず、何の仕事でも、それがまったくやったことのないような仕事でも、とりあえず最低限の合格点がとれるスキルは、身についていると認識できました。これまで中小企業でずっと働いてきたので、一人3役4役こなすことは当たり前と思っていましたが、常に色んな業務をプレイヤーや管理者の目線で見てきたことが役立っていると思っています。あとは、自分が信じてきた経営スタンス、人とのコミュニケーションのとりかた、仕事の進め方など総合的に、LOUPEで一定の役割は果たせたと感じているので、自分に自信が持てるようになったのは大きな収穫でした。


■自分の弱点を強化できる

会社としてのフェーズも事業内容も今まで経験したことのない環境に身を置くと、自分が今まで培ったスキルや経験ではすぐには太刀打ちできないことが出てきます。つまりは、そこがその時点での自分個人の弱点ということになります。LOUPEでいうと、やはりサービスそのものが固まっていないのに売りいかなければいけないという仕事でした。

もともと石橋を叩いて渡る、何事も準備に時間をかけるタイプでしたが、準備に時間をかけている余裕はLOUPEには無かったので、不安なまま営業に臨まなければいけないストレスと向き合うのが最もしんどいことでした。ただ、やっていくうちにそれも慣れてきます。少しずつ不安を感じることが無くなり、肝が据わってきて、サービスの価値を信じているからこそ金額面でも強気に出られるようになってきました。

考えながら走り続ける、ということが少しずつですができるようになったことが、自分で最も成長が感じられたことです。


以上の点で、LOUPEに出向していた期間は、自分自身が変化していくのをビンビンに実感できた6ヶ月でした。

 今後は、営業や人事面など、自社の各分野での課題を整理し、それらを改善していくとともに、新規事業を立ち上げる予定なので、それらを軌道に乗せていきたいと考えています。


後藤さんの手記はこれでおしまいです。半年間、後藤さんの試行錯誤にご一緒してきた身としては、特に、「考えながら走りつづける」という変化が起きたことは印象深い点でした。テクノライブ社から新規事業が生まれる日を楽しみに待ちたいと思います!!

いかがでしたでしょうか?ぜひご感想など、お聞かせください。


【参考情報】

テクノライブ株式会社:http://www.technolive.co.jp/

株式会社LOUPE:http://lo-upe.com/


レンタル移籍者たちの手記

企業間レンタル移籍プラットフォーム「ローンディール」は 大企業の人材をベンチャー企業のプロジェクトに参加させる仕組み。 働きなれた組織を離れて、未知のベンチャー企業に移籍した挑戦者たちは 何を見て、何を感じるのか。彼らの日々の記録。

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